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信託の活用術

遺言代用信託の活用法

 遺言代用信託とは

遺言代用信託とは、委託者が生存中は自己を受益者とし、委託者の死亡時に信託契約上で指定された者(死亡後受益者という)に受益権を取得させる旨を定める、または委託者の死亡時以後に死亡後受益者が信託財産に係る給付を受ける旨を定めるもので、遺言と同様の目的を相続手続を離れて達成する信託をいいます(信託法 第90条、第148条)。

遺言代用信託と似たものとして遺言信託があります。遺言信託とは、遺言による信託設定を行うことをいいます(信託法 第3条第2項)。つまり、信託の設定のための要項を遺言の要式で記載するもので、遺言執行が必要となり、当然ながら遺言としての要式性が要求されます。したがって、厳格な遺言執行手続きが不要という意味では遺言代用信託のほうが簡便です。

なお、信託銀行で一般にいわれる“遺言信託”は、正しくは遺言を執行し、財産処分の執行、助言を行う併営業務であり、信託業務ではありません。

 

  遺言代用信託のメリット

自分の死後の受益者を誰にするかを、生前の信託契約で定めるため、自分の死後の財産について、確実な承継と運用が確保できます。

 

  遺言代用信託が必要とされるケースと留意点 

遺言代用信託は遺言に比して柔軟性が高いため、今後下記のようなケースにはその活用を検討してみるべきです。なお、遺言代用信託では、委託者の生前に信託財産が受託者に移転することに留意すべきです。

ⅰ)遺言の記載内容や要式に縛られず気楽に取り組みたい場合

ⅱ)死亡後受益者が現に存しない場合

ⅲ)異なる内容の財産上の利益を複数の受益者に帰属させたい場合

ⅳ)後継ぎ遺贈型の受益者連続信託の設定をしたい場合

 

  遺言代用信託の課税関係

例えば、夫を委託者として賃貸アパートを信託財産とする信託を想定します。夫が、当初委託者兼受益者となり、受託者は長男が引き受け、委託者死亡後の受益者を妻とした場合の信託で検討します。

まず信託設定時は、当初夫が、受益者として自益信託を設定するので、夫に課税関係は生じません。またアパートの所有権は受託者である長男に移転しますが、受益者である夫が信託財産を有するものと扱うため、長男にも課税関係は生じません。さらに、相続税法における受益者は、受益権を現に有する者に限られると規程されており、今回の遺言代用信託で夫死亡後の次の受益者に指定された妻は、いつでも委託者によってその受益者としての地位の変更が可能であり、受益者としての権利がありませんので、信託設定時において課税関係は生じません。

次に当初委託者である夫に相続が発生し、妻が受益者となった時は、夫から妻にアパートが遺贈されたものとみなされ、相続税を申告することになります。

子どもへの贈与・名義預金対策としての信託の活用法

 名義預金のリスク 

預金や株式は、名義はその人の名前になっていても、名義預金・名義株として、過去の贈与契約が否認されやすいです。贈与契約の成立の判定は、

ⅰ.贈与資産の原資

ⅱ.贈与資産の管理

ⅲ.贈与資産の運用支配

が重視されますので、これらの財産の場合は、否認が極めて行われやすいといえます。

 

 自己信託とは

従来は、委託者と受託者が同じである自己信託を認めると信託財産は倒産隔離されることから、債権者を害するなどの濫用の虞あり、として認められていませんでした。新信託法では欧米の実情を踏まえ、委託者が他人のために自己の財産を管理・処分することを宣言(信託宣言)することによって成立する自己信託を認めることとなりました。

 

 自己信託による問題のクリア

親自身が自己信託によって、委託者かつ受託者となり、子を受益者とすることで、財産管理は自分が行ったまま、実質的な贈与が可能になり、名義預金といわれるリスクを排除できます。

 

 自己信託の課税関係

自己信託の場合、受益者(子)が委託者(親)と異なるため、真ったく設定時において、その受益者(子)が委託者(親)から信託の利益を享受する権利を贈与により取得したものとみなされ、贈与税が課税されることになります。

高齢者の財産管理手法としての信託の活用法

 高齢者の意思の伝達 

高齢者が財産の管理能力を喪失すると、本人が培ってきたファイナンシャルリテラシーの喪失、金融資産の運用経験に乏しい配偶者への財産移転、会社運営のデッドロック化など、公私両面にわたっての問題が一挙に顕在化します。

そこで信託を活用すれば、ファミリーの共有資産であるべきファイナンシャルリテラシーの継承、争続を回避しながらの被相続人の財産承継に係る意思の実現、会社経営の円滑な承継などの実現が可能となります。

 

 認知症対応のための任意後見契約付信託 

富裕層の場合、一般的には多様な所得源泉からの収入があります。そのため本人が健在なうちはよいのですが、判断能力が低下し始めると各種の運用報告が未整理となり、賃貸用不動産のテナントの賃料管理がずさんになるなどの事態に陥りがちとなります。子供に任せることができればいいのですが、身内に財産の詳細を知らせたくない事情がある場合もあり得ます。このような場合に、財産管理の器としての任意後見契約付信託を活用することが最適となります。

この認知症対応のための任意後見契約付信託の目的は、委託者に判断能力が無くなり、認知症と判定された段階以降は任意後見人が本人に代わって信託財産の管理・処分を行い、同時に本人の身の上監護を行いながら生活資金の適切な管理をし、委託者が死去すれば財産の配分を行うことです。認知症が発生する前は、まずは委託者自身の自益信託として開始し、認知症を発症した段階で、任意後見契約が開始され、任意後見人が委託者の代わりに委託者により運用される財産から交付された金銭の日常的管理を行う一方、委託者の身上監護を行うものです。任意後見人といえども家庭裁判所が選任した任意後見監督人によって監督されますので、任意後見人の暴走を防ぐことができ権利濫用の虞は少ないものとなっています。受託者が不慣れな親族など監視・監督が必要な場合には信託監督人を任意後見人が兼務することも考えられます。

なお、信託銀行は「後見制度支援信託」という、家庭裁判所の指示に基づき法定後見人の財産を管理し、その将来にわたる生活の安心を支援するための信託商品を提供しています。ただし、法定後見人であること(補助、保佐、任意後見は対象外)、信託財産は金銭のみ、親族後見人または専門職後見人が法定代理人であること、などの制約があります。

 

 成年後見制度の限界

財産管理に裁判所が関与する成年後見制度では、高齢者本人の意思とは違う財産管理になってしまうことも考えられます。例えば、この成年後見制度では、基本的に贈与のような被後見人の財産を減らすような行為は禁止されており、被後見人が子どもたちの経営する会社に貸付をしたり、孫の教育資金を負担してあげることもできません。また、他にも成年後見制度は、毎年家庭裁判所に収支報告をするなどその事務負担もかなりあるため、安易に成年後見制度を利用すると、取り返しのつかないことにもなりかねません。

したがって、この成年後見制度のデメリットを補うかたちとして、信託を利用することができます。信託であれば、高齢者本人の意思を信託契約に織り込むことにより、節税や家族のための出費など、柔軟な管理運用が図れます。例えば、高齢者である委託者自身が受益者になり、受託者を信頼できる息子などにしておく、いわゆる「自益信託」で、成年後見制度の利用では考えられなかった、生活援助として孫の学費の負担、投資として子供の経営する会社への資金貸付や相続税対策としての投資も、高齢者本人の意思により、予め信託契約に織り込んでおくことができます。

子どものための信託の活用法

 教育資金一括贈与信託 

平成25年度税制改正で教育資金一括贈与の非課税制度が導入されました。この制度は、学校や授業料などの教育資金として子供や孫に一括して資金を贈与しても、条件を満たせば1,500万円までは非課税扱いとするものです。

この教育資金一括贈与の非課税制度は、銀行や証券会社でも使えることになっていますが、あえて信託銀行を使うことのメリット、つまり信託を用いて教育資金一括贈与の非課税制度を用いることのメリットは、大きく2つあります。1つは、信託銀行であれば教育費目的の支出以外は事実上できなくなるという点です。銀行や証券会社で概算払いを用いると、この目的外支出が行われ課税されてしまうリスクが残ります。もう1つは、贈与する祖父母が亡くなっても、あるいは未成年の親権者が亡くなっても、孫に対する教育資金の給付が確保できることです。

 

 特定障害者扶養信託 

重度の心身障害を持っている子供の生活および療養の支援を信託の形で行う制度があります。特別障害者扶養信託です。これは、精神または身体に重度の障害がある子(特別障害者という)の生活を支援し、その療養を行うために、親が委託者、子が受益者となり一定の要件を満たした特別障害者扶養信託を締結した際には、信託財産の金額のうち6千万円までは贈与税が課税されない、というものです。特別障害者扶養信託は、原則として受益者の死亡後、6ヶ月で終了し、残余財産はその特別障害者の相続財産となります。

受益者連続型信託の活用法

 受益者連続型信託のメリット 

受益者連続型信託は、信託設定時点から30年先の相続の場面においても、自分の財産の行き先を希望する複数の受益者として、連続して指定することが可能となります。したがって、遺言では、自分の相続時のみ財産の行き先を指定することしかできませんが、この受益者連続型を利用すると、自分が死んだ後でも、自分の財産の行き先を生前に決めることができるようになります。

 

 後継ぎ遺贈型の受益者連続型信託 

後継ぎ遺贈型の受益者連続信託とは、例えば委託者の夫が生前は第1次受益者ですが、Xの死亡後は妻が第2次受益者となり、妻の死亡後は長男が第3次受益者となるというように複数の受益者が連続して受益者となるような定めになっている信託をいいます。遺言では、このような自分の財産の相続人の次の相続までも規制することはできないと解されていますので、このようなニーズがあれば非常に便利であるといえるでしょう。

信託の終了時については、信託が設定されて30年を経過した時以降に、現に存する受益者が信託行為の定めにより受益権を取得した場合であって、その受益者が死亡するまで、またはその受益権が消滅するまでの間その効力を有することになっています、その後、信託財産はその最終受者の一般相続財産となります。ただ、30年先の相続までも指定できるということになると、委託者の死後の家族関係の変化には対応できないことになるので、信託行為においてある程度の信託内容の変更が可能な文言を織り込んでおくことが必須なケースもあると思われます。

 

 受益者連続型信託が必要とされるケース 

ⅰ)前妻との間に長男がある委託者が前妻と死別後再婚した場合で、委託者は自分の死後に自宅を後妻に住まわせますが、後妻の相続発生後には自宅を長男に相続させたいと考えています。後妻と養子縁組していない長男との間は何ら親子関係がないため、後妻の相続時に財産が第三者に渡ることを懸念しています。

ⅱ)所有する賃貸用不動産の権利を収益受益権と元本受益権に分割し、委託者の相続時には前者を妻に相続させ老後の生活資金を与え、後者は長男に相続させます。次に妻に相続が発生した場合は、収益受益権を長男に相続させたいと思っているようなケースが該当します。

 

 受益者連続型信託の税務 

基本的な考え方は、まず設定時には、委託者から受益者が受益権を遺贈または贈与により取得したものとみなして、受益者に対して相続税、贈与税を課税します。次の受益者については、その直前の受益者から受益権を遺贈または贈与により取得したものとみなして相続税、贈与税または所得税を課税します。

議決権を確保するための信託の活用法

 自社株承継のための信託の活用メリット 

自社株式を信託して、指図権を自分に留保することで、種類株式同様に、自社株式の移転を行いつつ、議決権の実質的な確保が可能になります。生前贈与で自社株式そのものを渡してしまうことによる、後継者が若年で死亡した場合の株式の一族外への流出や、後継者の資質の見極めの失敗リスクに備えることができます。

さらに、株主が委託者兼受託者となり、株式を信託することで、多数の株主が存在する場合や、信託が長期にわたるような場合、経営者が支配する一般社団法人を受託者とすることを検討すべきです。

 

 遺言代用信託を利用した自益信託スキーム 

中小企業庁財務課長の私的研究会である“信託を活用した中小企業の事業承継円滑化に関する研究会”が2008年6月にまとめた「中間整理~信託を活用した中小企業の事業承継の円滑化に向けて~」には、中小企業の自社株式の円滑な承継のための幾つかの信託活用スキームが提示されています。

例えば、遺言代用信託を利用した事業承継のスキームとは、現経営者(委託者)がその生前に、自社株式を対象に遺言代用信託を設定し、信託契約において、相続発生までは自らを当初受益者とし、相続発生時に後継者が受益権を取得する旨を定めたものです。この手法のメリットは、まず経営者は、その存命中に引き続き経営権を維持しつつ、あらかじめその死亡時に後継者たる子が受益権を取得する旨を定めることにより、後継者が確実に経営権を取得できるようにできることです。

自社株式を対象に信託を設定することにより、受託者が株主として自社株式を管理することになるため、後継者が第三者に自社株式を売却処分してしまうリスクを防止することができ、後継者への事業承継を安定的かつ確実に行うことができます。また、後継者(死亡後受益者)は、経営者の相続開始と同時に受益者となることから経営上の空白期間が生じないなど、遺言と比較してメリットがあります。課税は、委託者の死亡時に受益者への「みなし贈与」として相続税が課税されます。

 留意点と課題 

同研究会の「中間整理~信託を活用した中小企業の事業承継の円滑化に向けて~」では、遺留分の算定に当たっては、(受託者に対する株式の)議決権行使の指図権は株式に付随する一種の特約であり、独立して取引の対象となる財産ではないため、財産的価値はなく、したがって遺留分算定基礎財産には算入されないと考えています。よって、複数の受益者のうち、特定の者に議決権行使の指図権を付与することは、遺言や遺産分割よって株式それ自体を相続する場合と比較して、議決権の分散化の防止に資する、というものです。

自社株式の承継に信託を活用した場合の検討課題としては、受託者の議決権行使の会社法上の位置づけ、議決権行使の指図権のない株式について、民法の遺留分算定基礎財産の計算上および相続税法上どう評価されるのか不明である点、議決権の行使という行為だけの信託で信託報酬を負担し続けることが果たして可能か、といった事項が挙げられます。

ダウンロード関連資料

株式を生前の早い段階から分散しておくことを勧める専門家も多いですが、そのような場合に発生するリスクに対して各種の事業承継手法がどのように対応可能かを比較したのが以下の図表となります。

不動産管理会社としての信託の活用法

所有不動産にかかる所得税・住民税の節税を図るべく、不動産の所有権を個人から不動産管理会社に移転する場合、その移転時に不動産取得税や登録免許税といった流通税が生じます。そこで、信託受益権を売買の対象とすることで、流通コストを抑えながら、節税目的を達成することが可能です。また、不動産の受け皿会社に一般社団法人を利用することで将来の相続税の心配もなくなります。

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 〈名古屋税理士会 会報〉
・【論壇】 我が国の災害税制の在り方について(2017年1月号)
・【論壇】事業承継「待ったなし」(2018年1月号)

過去の執筆記事
  • 「近代中小企業」2009年5月号(【特集企画】銀行に頼らない経営)

  • 「近代中小企業」2011年10月号(【特集企画】中小企業のためのガバナンス!)

  •  「近代中小企業」2013年1月号(【特集企画】消費税10%突入に備える、転換期の経営防衛術)

  • 「近代中小企業」2014年2月号(【特集企画】 社長の終活)

  • 「近代中小企業」2015年12月号(【特集企画】直前緊急対策!マイナンバー制度)

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