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事業承継の進め方

近年の中小企業の事業承継において発生している問題点は、概ね以下の通りに整理できます。 

 オーナー経営者の相続時における自社株式及び事業用資産の分散とこれを巡る相続紛争  

 オーナー経営者の交代に起因する信用不安 

 相続発生時における過大な相続税の発生 

 

これらの様々な問題点を抱えつつ、最終的に中小企業の円滑な事業承継に求められるのは、継続的な付加価値の提供が可能となる事業の承継です。そのためには、平成20年に施行された経営承継法を有効に活用するとともに、事業が生み出す付加価値の源泉=「事業価値の源泉」を明らかにし、その継続を図ることが必要となります。特に、経済環境が厳しさを増すほど、事業価値源泉を最大限に活かすような経営を行うことが重要となります。したがって、このように事業の継続がその本質的目的である事業承継に当たっては、長期的な視点を持った計画的な取り組みが求められるのです。

事業承継の進め方

上記のとおり、円滑な事業承継のための準備を進めるには計画的な取り組みが必要ですが、前提として以下のような具体的な事業承継の方法を決めなければなりません。すなわち、企業の内部環境及び外部環境の客観的な評価並びに事業価値源泉の正しい把握に基づいて、 

 親族内承継 

 親族外の役員・従業員への承継 

 所有と経営の分離 

 第三者への売却 

のいずれかの方法によって、事業承継を行うかを決める必要があります。もし事業の承継が困難と判断された場合には、「  廃業 」するしかありません。 

具体的には、以下のフローチャートに基づき進めることになります。  

 現状の分析(パイロットテスト)

会社の役員構成や財務状況、経営者個人の財産状況及び親族内の後継者候補の有無等を把握します。さらには、相続税等の事業承継に必要な資金を把握するとともに、会社の財務状況及び個人の資産状況を調査して、事業承継資金が確保されているかを確認します。 

 

 事業価値源泉の分析把握

戦略分析ツール等の活用により、会社の主力商品の市場環境等外部的な環境を把握するとともに、自社の客観的な分析を行います。さらに、自社の強みや弱みを認識することにより、事業価値源泉を把握したうえで、定量的な分析によりそれを裏付けます。 

 

 事業価値源泉の現状での承継可能性

事業価値の源泉は、その承継が容易か否かを評価します。

 事業価値源泉の個人能力の依存度 

経営者の個人的な能力が事業価値の源泉となっている場合には、通常、現状のままでの承継は難しいものと考えられます。

 事業価値源泉の存続性 

事業の継続のためには、事業価値源泉が十分な付加価値の創出を継続しなければなりません。したがって、現在の事業価値源泉が、どれだけ長く付加価値を提供し続けられるかを分析把握する必要があります。 

 

 承継のための仕組み作り

事業価値源泉が経営者個人の資質に依存していると判断され、後継者が現経営者と同様の資質を持たない等、現状のままで事業承継が困難と判断された場合には、後継者が事業を引き継ぐことが可能となるような仕組み作り、すなわち組織的な経営への転換を図ります。そのためには、経営理念を明確にし、必要な人材の育成を図り、権限を委譲する必要があります。 

 

 事業承継環境の整備

把握された事業価値源泉を前提に、 

 事業承継の対象となる会社の状況 

 現経営者自身の状況 

 事業承継に係わる関係者の状況 

を正確に分析し、事業承継における阻害要因を排除し、円滑な事業承継に向けての環境を整備する必要があります。 

 

 後継者の選定

事業価値の源泉の承継のための仕組み作りが行われ、事業承継環境が整備されたならば、後継者候補の有無を確認します。すなわち、経営者の親族の中に後継者候補がいるのか否か、いない場合に役員・従業員の中の候補者の有無を把握します。後継者候補が複数いる場合には、その中から最も適任である者を選定して、経営者としての教育を行います。 

後継者候補が決まれば、事業承継の方法が決まります。すなわち、親族内承継、親族外の役員・従業員への承継又は第三者へのM&Aのいずれかの方法によって事業承継が行われるかを決定することにより、事業承継の計画的な取り組みが可能となります。

事業承継の方法

 親族内承継

事業承継の中で基本となる形であり、相続においては事業用資産と実質的に個人資産が一体化している中小企業にとっては最も自然体での事業承継です。 

しかしながら、次の①~④のような問題もあります。

 

 後継者難 

現実には事業承継における親族内承継の割合は、確実に減少しています。すなわち、厳しさを増す経営環境の中で、親族という枠の中で適切な後継者候補を決めるのが、難しくなっています。

 

 後継者教育と環境整備 

後継者が決まったとしても、経営者としてリーダーシップ等様々な能力が要求されるため、後継者としての教育が必要となります。また、対象となる会社や経営者及び関係者の現状分析など、事業承継を行うための環境を整備する必要があります。また後継者がなかなか決まらない場合においても、事業承継環境の整備は、進めるべきです。

 

 相続による自社株式や事業用資産の分散

親族内承継の場合、中小企業経営者の多くは、個人資産の大半が事業(自社株式を含む。)に投入されているため、その承継について、相続問題は不可避です。それだけに、場合によっては遺産分割上の争いが発生し、自社株式や事業用資産が分散して、事業活動そのものの存続に支障を来すおそれがあります。

 

 多額の相続制負担

事業価値源泉が明確で企業価値が高い場合、株式の評価額も高くなる場合があります。また会社が保有する資産に含み益が発生している場合も同様です。その結果、相続税の負担も多額となるため納税資金が確保されているか否かを確認する必要があります。

 

 親族外の役員・従業員への承継

 親族の中に適切な後継候補者がいない場合には、役員又は従業員の中から後継候補者を選んで承継させることが考えられます。主な留意点は、以下のとおりです。

 

 後継者教育と環境整備

親族内承継の場合と同様に、後継者の教育及び事業承継のための環境の整備は、必要です。

 

 買収資金の調達

親族以外の役員・従業員が承継する場合(EBO)において一番の大きな課題は、オーナーから株式を買い取る際の資金の調達です。一般的には以下の手順で行われることが多いです。

ア.  役員あるいは従業員が、株式の買い取りを目的とした会社(SPC)を設立する

イ.  SPCが、投資ファンド等からの出資又は金融機関からの融資をによって、資金を調達する

(被買収会社の資産を担保にする=LBOの場合もある)

ウ.  イで調達した資金で、オーナーから株式を買い取る

エ.  SPCと承継対象の会社との合併を行う

 

この方式を用いると、資金を調達した投資ファンドからの経営を巡る要求がなされる場合があり、経営の自由度が制限される場合があります。

なお、公的な投資ファンドとして、後継者不在等の事業承継問題により、新たな事業展開が困難となっている中小企業の事業継続を円滑化するとともに、新事業展開を通じた経営の向上を図ることを目的とした「事業継続ファンド」が創設されています。

 

 流動性のない自社株式の換金

オーナーの立場から見れば、株式を売却することによって、株式譲渡に伴う納税が発生するが、所有株式を換金できるメリットがあります。また、相続税の納税資金を確保することができます。

 

 オーナー個人が所有する事業用資産や個人保証、担保の処分

事業の継続に必要不可欠な資産が、オーナー個人の所有となっている場合、あるいは、オーナーが金融機関などに対して個人保証し、個人資産を担保提供している場合には、その整理が難しくなります。

 

 所有と経営の分離

上記(2)の場合において、②の買取資金調達の問題が解決できずに、役員等が会社支配権に必要なだけの株式を取得することができない場合も想定されます。その場合には、引き続き旧代表者が支配株主の座に留まり、会社の経営は役員等に委ねるため、所有と経営の分離が生じます。しかしながら、以下の点において問題点が多いです。したがって、事業承継の場合、所有と経営の一致を維持するのが望ましいです。

 

  オーナーが負担するリスク

先述のように、中小企業においては、事業用資産と個人の資産が一体となっているケースが多いです。したがって、経営を役員等に委ねた後においても、オーナーの個人資産を会社の資金調達のための担保に、供することを要求されることが想定されます。極端な場合、経営を任せた役員の経営判断の結果として、オーナーが個人資産を失う可能性があります。

 

 機動性の低下

所有と経営が分離していると、経営者の地位自体がオーナー(株主)の意向に左右されるため、どうしても、重要な意思決定にはオーナーの同意を取らざるを得ないこととなる結果、素早い意思決定が難しくなり、また、思い切った経営判断によって損失が生じた場合の責任を考慮して、どうしても無難な選択をしてしまいがちです。したがって、所有と経営の分離は、社会や経済動向に機敏に対応できるという中小企業ならではの強みを減殺させるおそれが大きくなります。

 

 経営者や従業員のモチベーション

会社経営によって経営者が受け取ることができる利益は役務の対価としての役員報酬のみであり、自らあるいは従業員の貢献によって企業価値が向上したとしても、株式の価値上昇による利益を享受し、会社が獲得した利益をどのように分配するかを決定し得るのは、株主であるオーナーです。したがって、事業資金調達のために、個人保証さえ求められる経営者の立場を考えると、そのモチベーションは高まらない虞があります。

 

 相続の発生

株価が高くなった後において、オーナーに相続が発生すると、納税資金を確保するために、株式を売却することが想定されます。場合によっては、第三者に株式が移転するリスクがあります。またオーナーが自己株式として売却する場合には、自己株式を買い取るための資金を会社が調達する必要があります。いずれの場合でも、オーナーの相続の発生が資金繰りに大きな影響を及ぼすため、会社の事業活動の存続に支障をきたす虞があります。

 

 第三者への売却

 

親族および親族外の役員・従業員に適切な後継候補者が見当たらない場合には、まったくの外部の第三者に事業経営を譲ることになります。すなわち、第三者への株式売却、事業の全部又は一部譲渡=M&Aです。

M&Aには、次の三つのメリットがあります。

 

 事業継続による雇用の確保

適切な後継候補者が見つからない場合でも、株式や事業を第三者に譲渡することによって、事業の継続が可能となる結果、その事業に従事していた従業員の雇用が確保されます。

 

 広い範囲から後継候補者を選択できる

親族や役員・従業員といった限定された範囲で選ぶのではないため、より適切な候補者を後継者として選択できます。

 

 流動性のない自社株式の換金

株式売却においては、創業者は、自ら苦労して立ち上げて、価値を増大させた株式や事業を現金化することができます。当然に売却益に対する課税は発生するものの、事業を清算するより(累進課税)有利な場合が多いです。

しかしながら、M&Aには次のような課題もあります。

 

 経営理念の承継が難しい

買収する側にとって、M&Aは時間や労力を買うことが主眼であるため、自らの経営理念に従って経営を行うことになります。したがって、譲渡する側の会社と経営理念の近い会社に譲渡する場合を除けば、従来の経営理念の承継は難しくなります。さらには、従来の経営理念を理解していた役員・従業員が買収した会社の経営理念を受け入れられない場合には、会社を去るケースも考えられます。

 

 M&Aは簡単に成立しない

実際にはM&Aには多くの課題があるために、簡単には成立しません。また、M&Aが成立しない場合には、廃業となる可能性が高いです。したがって、親族や役員・従業員等の身近な範囲に後継候補者が見つからない場合には、早い段階からM&Aを意識して事業承継に取り組むことが、非常に大切です。

 事業再生

 

収益性や財政状態等の悪化により、企業の存続が難しい場合においても、事業価値源泉の一部に持続性が見込めるならば、会社分割や存続可能と判断された事業を、他の企業に承継させる第二会社方式等によって、付加価値を提供できる事業を再生しつつ、承継することが可能となります。企業が有する複数の事業価値源泉の中で、持続可能なものがあるかを見極めることが重要です。 

  「事業再生」手法の詳細についてはこちら 

 

 廃業

事業活動は、経営を承継する者が存在することによって、持続継続することができます。したがって、第三者まで候補者を選択する範囲を広げたにもかかわらず、後継者が見つからない場合には、廃業するしか選択肢はありません。現実には、廃業件数は増加しているが、従来付加価値を提供できていた企業が、何らかの要因によって事業価値の源泉を失った結果、社会に対して付加価値を提供できなくなったならば、廃業もやむを得ません。しかしながら、事業を廃業し会社を清算する場合にも、手続が煩雑なため相当なエネルギーを必要とします。そこで費やすエネルギーを事業価値の源泉を失う前に、事業勝源泉を承継できるように計画的に取り組む形で費やせば、あるいは廃業という結果を招かずに済んだかもしれません。

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・【論壇】 我が国の災害税制の在り方について(2017年1月号)
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  • 「近代中小企業」2009年5月号(【特集企画】銀行に頼らない経営)

  • 「近代中小企業」2011年10月号(【特集企画】中小企業のためのガバナンス!)

  •  「近代中小企業」2013年1月号(【特集企画】消費税10%突入に備える、転換期の経営防衛術)

  • 「近代中小企業」2014年2月号(【特集企画】 社長の終活)

  • 「近代中小企業」2015年12月号(【特集企画】直前緊急対策!マイナンバー制度)

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